覚悟を決めたとき背中を押してくれた一冊【非常識な成功法則】

神田正則著「非常識な成功法則」 独立マインドの磨き方

未知の扉を開く決断をするまでに、多くの人が通る道があります。迷い、不安、焦燥、そして未来への微かな希望。そのどれか一つでも突き抜けられないと一歩を踏み出す勇気は湧いてきません。

私もまたその例外ではありませんでした。仕事を辞めようと考え始めたとき自分に問いかけました。「本当にやっていけるのか」「何か確信が得られる方法はないのか」と・・。

そんなときに出会ったのが、神田昌典さんの著書『非常識な成功法則』でした。世の中に成功本は数多くありますが、この一冊は他とはまったく異なる切り口で私の考え方そのものを揺さぶってくれました。

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挑戦への不安より期待を高めてくれる本が必要だった

会社を辞める。独立して生きていく。言葉にするのは簡単ですが、そこに伴うプレッシャーは計り知れません。

今のままでも生活はできるし、もう少し準備が整ってからでいいかもしれない。そんな言い訳を毎日心の中で繰り返していました。

最近、メディアで耳にしたもので「やらない後悔より、やってみた後悔がいい」みたいなニュアンスの言葉がありますが、似たような表現は当時からありました。ただ、私には挑戦する側の人になる気持ちの材料みたいなものが不足気味だったようです。

そんなときに私が求めていたのは、現状を否定する理屈ではなく未来に期待したくなるような考え方でした。背中を押すのではなく前を照らしてくれるような言葉。その要素が『非常識な成功法則』にはありました。

知る人ぞ知る成功者バイブル『非常識な成功法則』

この本の最大の特徴は、「非常識であれ」というスタンスにあります。

著者の神田昌典さんは、経営コンサルタントとしてだけでなく、自らもビジネスの現場で大きな実績を築いてきた人物。その彼が書いたこの本は、決して「綺麗ごと」ではなく、時に読者の心をグサリと突くような言葉で構成されています。

特に印象的だったのは、次のようなコンセプトです。

  • やりたくないことを明確にせよ
  • 紙に書け。思考は現実化する
  • 自己評価を高めよ。他人より自分の評価を信じろ

世間でよく語られる「好きなことを仕事にしよう」ではなく、「嫌なことから逃げてもいいんだ」という肯定感が当時の自分には何よりも必要でした。

ちなみに、この本の初版が発行されたのは2002年のことでロングセラーとなっていますが、私たち大人世代が子育てと仕事の両立の真っただ中のときに出版された本で、私自身も仕事や家庭的な大きな問題を抱え読書から一時的に遠ざかって過ごしていた頃に世の浸透していた本です。

そんなことから、私がこの本を知ったのはここ数年2020年以降のことで同じ世代の方も知らずに見過ごしてきた良書にあたる本かと思います。

ただし、新装版として現在も販売されている中身は今読んでも他に似るところがなく斬新な内容になっています。

「やりたくないことを明確にする」ことで見える次の道

この本の中で、もっとも話題として取り上げられる部分は次のキーワードが出てくるセクションです。

「やりたいことを探すより、やりたくないことを洗い出せ」

すでに自分なりのマインドセットが構成されつつある人にとってはネガティブ的な用語なので、読み飛ばしてしまいがちな部分ですが、先に「やりたくないこと」を洗い出すことで、やりたいことが明確に浮き彫りになると受け取って良いかと思います。

「あの満員電車はもう乗りたくない」
「あの上司の機嫌に振り回されるのはイヤだ」
「数字合わせだけの仕事に意味を感じない」

これらの「やりたくないことリスト」を可視化することで自分が本当に求めている人生の輪郭が見えてくる。逃げではなく選び取る。そんな感覚を得られたのはこの思考法のおかげです。

この「やりたくないことを見つける」という話の展開は、本書の中では「目標は紙に書くと実現するという」という、ありふれた願望実現テクニックを交える形で始まっています。

この部分を簡単に説明するなら、実現したい目標が自分が本当に心の底から湧き出てくる願望によるものなのか?それを決定づける施策は先にやりたくないことに目を向け、一端自分の気持ちの奥底に下がってみて目を背けたい部分も明確にし、その対となる方向にマインドに繋がるものがないか洗い出す作業なのだと要約できると考えます。

カセットテープの一節を生かした大きなヒント

本書『非常識な成功法則』の中で、著者の神田昌典さんは「カセットテープが奇跡を起こす」と語っています。

その内容は、自分の理想や目標を音声で繰り返し聴くことで、潜在意識に働きかけ、行動力を引き出すというものでした。

かつてはカセットテープに自分の声を録音しそれを何度も聴くというやり方でしたが、これは自分の声を繰り返し聞き続けるのが居心地よくないと感じる人とっては参考にしづらいものです。

それが今の時代なら、マイクに向かって自分の声を録音させることなくもっとスマートに実践が可能です。

たとえば、テキスト読み上げアプリ(TTSアプリ)を使えば、自分が書いたメモや目標を自然な音声でスマホに読み上げさせることができます。iPhoneでもAndroidでも、無料のTTSアプリが数多くあり、好きな声質や再生速度まで選べる時代です。

私も試しに、「自分の理想的な働き方」や「目指す姿」「意識に刻みたい動機付けの言葉」などを文章にしてTTSアプリで読み上げさせました。

最初は少し不思議な感覚でしたが、お世辞にも良い声とは言えない自分の声で聴くより、誰の声質でもない音声で自分のまとめ書いた言葉が耳から入ってくることは私の行動や意識を変えることに絶大な効果がありました。

画面を見て読むよりも耳からの情報は深く染み込むものです。散歩中や移動中にスマホを使って再生すれば、自分専用の自己啓発音声がいつでも聞ける状態になります。まさに「現代版・カセットテープの魔法」です。

『非常識な成功法則』に書かれていた「音で潜在意識を刺激する」というアイディアは、アナログな方法であっても今なお有効。むしろ現代のツールを活用すれば、さらに継続しやすく実用的だと感じた次第です。

このように自分の声に抵抗がある人でもTTSなら気軽に始められます。静かに自分の考えを刷り込む時間を持つことで少しずつ行動や選択が変わっていく、これは良書から得た知識を実践していくための一つのテクニックとも言えるでしょう。

この本が与えてくれた覚悟とは何だったのか

『非常識な成功法則』が与えてくれたのは完璧な計画でも成功の保証でもありません。

代わりに与えてくれたのは、「自分の人生を、自分で選んでいい」という覚悟でした。

読み終えてから後すぐに行動を起こしたわけではありませんが、その日から私の心の中に変化が生まれたのは確かです。「いつか辞めたい」ではなく、「辞めるために、今何ができるか」つまり目標のために今できる行動を考えるようになったのです。

タイトルにある非常識という言葉は、本に興味を引き付けるものですが実際に読み終えた感想では、他の自己啓発書などにはない表現や語り口が多用されていて読む人を飽きさせないほか、そうした効果が読む人のやる気をあらたに引き出す効果につながっていると感じました。

もちろん、このページで取り上げた項目はごく一部で、モチベーションアップ系のビジネス書に期待したい要素は多分に詰まっています。

そのことは、新装版のサブタイルにある「お金と自由をもたらす8つの習慣」からも察していただけるのではないでしょうか。

もし、今あなたが早期退職や脱サラを考えているけれど迷いがあるとしたら。この本はきっと静かにしかし確かに、あなたの背中を押してくれるはずです。

非常識と言われる道にこそ、あなたの自由が待っているかもしれません。

読書でやる気を引き出す

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