長い社会人生活の後半を迎え定年まであと数年になると、自分で事業を起こすなど新たな夢を見るより今の職場にとどまり働き続けたほうが安全であるというのは理想的かつ無難考えであるといえます。
それでも時期を待たずに自主退職することの一番のメリットは「自由になれる」の一言に尽きるでしょう。
この「自由になれる」というメリットの裏に隠れている数多いリスクには、どうしても目を背けがちになのも確かかもしれません。
定年前の退職で失われるもの
定年まであと数年に迫った時期に自己都合退職することで失われるものは、今までサラリーマンとして安定して得られていたもの、確実に積み上げてきたものすべてです。
毎月安定して入ってきた給料、会社員という身分、有給休暇、仕事を通して知り合えた人たちとの信頼関係。その他にも会社を辞めることで福利厚生といった類のものは全く無くなると思って良いでしょう。
このほかにも、今まで組織に属することで受けてきたメリットは数多くあるはずです。
また、近年最も重視される傾向にある「老後の安定した資金を残す」という意味でも損失になる部分が少なくないと考えられます。
早期の退職で被ることになるこれらの損失を、自分の知力や資産、労力だけで如何に解消させ、または補っていくことができるかが大きなカギであり、答えを出す前にこれらの課題と十分すぎるくらい向き合っておく必要があります。
不安要素とされるこれらの課題と充分向き合ったうえで、会社を辞めることで得られる自由というものがちっぽけであると感じるなら定年まで勤め続けたほうが良いということになります。
早期の退職で得られる自由とは
はたして、あらゆる犠牲を払い定年を目前に先走った上に得られる「ちっぽけかもしれない自由の類型」にはどういったものがあるのでしょう。
具体例をあげてみることにします。
時間の自由
社会経験が豊富な人には分かっていただけると思いますが世の中ではお金より時間の方がはるかに重要です。
そうは言っても、先立つものが無ければ生活が苦しくなるのは「お金より時間」という理想が持つ二面性かもしれません。
この「時間な自由」から多くの恩恵を受けるための条件は、有り余る時間を自分の知力と活力で収入に変えていける実力なのだとも言えるでしょう。
人間関係とストレスからの開放
会社などの組織に属し続けていれば当然他人と関わる時間が多くなります。
そこから生まれる意にそぐわない人間関係から逃れることができれば、プライベートが充実しライフワークの改善にも繋がることでしょう。
また、納得できない理不尽な評価や、寄せられる期待に対しての強いプレッシャーからも回避できます。
組織から逃れることは、いわゆる自分のスタイルを優先して生きていくことが可能になることだと言えるでしょう。
就業規則からの自由
会社勤めをしていると、そのために自由にならないことというのがあります。
労働条件や規律を定めるための就業規則の中には、ときに過剰すぎる規定が設けられていることがあり、これが個人の目的を制限する内容を含んでいれば解決しなければならない不都合の一つになってしまいます。
以前にも記事に取り上げていますが一番ダメな例が副業禁止の規則です。
他社で働いていれば自由にできることが、今勤めている会社では規則に反するため実行できないという場面が稀にあります。
その部分が、この先も継続して自分のライフワークに大きく影響するのであれば、事実の改善について対策を要するのは致し方ないことでしょう。
以上の三つが会社を辞めることで達成される自由の一部になります。
ここにあげた自由も必ずしも約束されたものではありませんが、人によっては安定した稼ぎを犠牲にしても優先したい重要な要素であるなら行動を起こす大きなきっかけになるかもしれません。
都合の良い情報に惑わされず課題と向き合う
ここ最近、とあるラジオ番組で「アテンションエコノミー」という言葉を耳にすることがありました。
アテンションエコノミーとは、私たちに受け取ることができる大量の情報を効率良く厳選し供給するネット上のシステム(SNSやWebメディアなど)がマーケット化されていることを表す用語と解釈して良いでしょう。
詳しくは、次の総務省のサイトに掲載されているページが参考になります。
早い話が、私たちが解決したい課題に対して「本人の好きそうな情報だけを提供してくれる」ということなのだそうです。
趣味や娯楽のことであれば、自分の望む理想の答えだけもらえるのはありがたいことですが、社会で働くための重要な決断をしたいところにリスクを度外視した理想の心地よい未来だけを情報として提供されてしまたために生活に困窮してしまうということにもなりかねないため気を付けなければなりません。
会社を辞めること、独立して働くことを夢見ることは自由ですが実際に得られるメリットはメディアが供給する情報より極めて小さく限定されたものかもしれません。果たしてそうした現状に納得できるかを充分に見極め自分なりに課題を煮詰めて答えを出す必要があることでしょう。
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